循環器内科

診療科紹介

 南奈良総合医療センター循環器内科では,虚血性心疾患,心不全,高血圧症(本態性高血圧症,二次性高血圧症),不整脈などの心疾患や,全身の動脈硬化疾患に対する診断・治療を行なっています.
本邦では超高齢化社会を迎えています.南和医療圏でも高齢化が進んでおり課題が山積しています.大きな課題の一つに「平均寿命」と「健康寿命」の解離があります(下図).
健康寿命日常生活に制限のない期間

[出典]厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会
「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」p25 

 この「平均寿命」と「健康寿命」の差の期間は日常生活に制限があるため,何らかの形で支援や介護を受けなければならず,健康でない期間といえます.この期間をいかに短くし,幸せな人生を全うすることが重要な課題となります.心不全などの循環器疾患はこの健康寿命に影響を与える非常に重要な疾患と考えられます.
 この「健康寿命」を伸ばすため,当院循環器内科は,奈良県立医科大学と連携をとりながら,狭心症・心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の迅速な治療を行っております.さらに高血圧症の正確な診断と内服の調整,心不全に対する積極的な治療を行っています.脈が遅くなる不整脈に対してはペースメーカの植え込みを行い,その他に治療が必要な不整脈の詳しい検査も行っています.
 また,「患者さんから学ぶ」をモットーに臨床研究を行い,世界に向けてさまざまな研究発表を行っています.

対象となる疾患

 心筋梗塞,狭心症,高血圧症,心不全,心臓弁膜症,大動脈解離,閉塞性動脈硬化症,不整脈

 

外来・入院で可能な特殊検査・治療

閉塞性動脈硬化症

 当院循環器内科では,当院放射線科と奈良県立医科大学放射線科と連携し,閉塞性動脈硬化症の積極的な治療に取り組んでいます. 

 閉塞性動脈硬化症は,足の血管が細くなったり,つまったりして,足に十分な血液を送れなくなる病気です.そのため,「歩行時に足のしびれ,痛み,冷たさ」を感じるようになります.さらに悪くなると,安静時にも症状が現れることがあります. 

 これらの症状は,「高齢だからしかたない」,「動いたあと休憩すると楽になるから様子をみよう」,「腰痛が原因かも」といったような理由で放置されていることがたくさんあります.

 動脈硬化を放置すると,足の血液の流れが悪くなり,足が壊死(腐って死んでしまうこと)してしまうこともあります.足が壊死してしまうと壊死した部分を切断する必要もあり,歩くことができなくなります. 


 当院では南和医療圏の皆様の健康寿命を延ばすため,「閉塞性動脈硬化症の撲滅」を目指しています.この病気は早期に発見し早期に治療することで,治癒することができます.また,動脈硬化の結果として足の血管が細くなるため,全身の血管が細くなっている可能性もあり,足の治療を受けることで,さらに狭心症や脳血管疾患を早期に発見することにつながることも知られています.

 足の血管が細くなる「閉塞性動脈硬化症」を疑った場合は,速やかに循環器内科をご受診ください.

 

虚血性心疾患(狭心症)

 当院にはシーメンス社の128列CT装置が導入されています.そのCTにより冠動脈の詳しい検査を行うことができます.

狭心症の詳しい検査が可能ですので,検査を希望される患者様は循環器内科をご受診ください.

 

ペースメーカ遠隔確認

 当院では,自宅にいながらペースメーカの確認ができる「ペースメーカ遠隔確認」システムを導入しています.
 遠隔確認ができる利点として,①来院回数を減らす,②在院時間を減らす,ことが挙げられます.とくに,遠方からお越しになられる患者様は,来院数を減らすことでさまざまな負担を減らすことができます.ペースメーカのチェックのため6か月毎にご来院いただいておりました患者さんも,12か月毎の確認で十分となります.
 新しくペースメーカを植え込まれた患者様が対象となりますが,詳しいことをお知りになりたい患者様は,循環器内科外来をご受診ください.


植込み型心電計

 当院循環器内科では,原因不明の失神の診断に使用する植込み型心臓モニタの植込みを行っています.この体内に植え込む心電計は非常に小さく(幅 7.2 mm, 厚さ 4.0 mm, 高さ 44.8 mm),最長で3年間の心電図モニタリングが可能となっています.

 ホルター心電図で検査を行っても原因不明の失神や,脳梗塞の原因の一つとされる心房細動の詳しい検査が可能となっています.詳しいことをお聞きになりたい患者様は循環器内科をご受診ください.